interview
田中 彩子
港町横浜で母親と2人で着物リメイクブランド“SAICO”を営む。
このブランドでしか見られない独創的なデザインのアイテムが魅力の1つ。
田中彩子さんは昔から洋裁をしてきた母親と2人で、着物リメイクブランド“SAICO”を営んでいます。
“やりたいことをやりたいときにやる。やるからには本気でやる。”今回のインタビューを通じて、着物という日本の伝統文化の継承はもちろん、それ以上の気持ちやパワーを伝えたいという想いがうかがえました。
今回は、こうした“SAICO”として活動していくうえでのこだわりはもちろん、着物カジュアルを始めたきっかけや、今後の目標などもお話いただきました。
“SAICO”ってどんなブランド?
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——— “SAICO”では、どのような活動をされているのか教えてください。
田中彩子さん(以下、彩子):着物をリサイクルすることを目的として、形を変えてお洋服にする活動をしています。
そしてリメイクしたお洋服をネット販売や高島屋などの百貨店で個人のお客様に販売しています。
また、私たちのブランド“SAICO”の大きな特色は完全に1点物で、“世界に1つをあなたに”が基本コンセプトとなっています。
——— “SAICO”さんはロゴが2つあると思うのですが、それぞれのロゴについて教えてください。
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彩子:こちらのロゴマークの“SAICO”では基本的に1点物を扱っています。
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彩子:こちらの“SAICO_三一五”は“SAICO”の姉妹ブランドで、量産品を展開するブランドとなっています。
——— 三一五という数字や侍のイラストにはどのような意味が込められてるのですか?
彩子:“SAICO”を315と書くとサイコになるじゃないですか。そしてこの315に最高という意味も含んでいます。
そして、日本のブランドであるということをわかりやすくするために、あえて漢数字で三一五と書いています。
また、このお侍さんは、“SAICO”のキャラクターである縫一くんで、東京の六本木で出店をしていた際に出会ったイラストレーターの方に描いていただきました。
私が扱っている商品は比較的高額な商品が多くて、気取っている作品が多いんですけど、私自身はおちゃらけた性格で、ふざけたりすることも好きです。
そのため、自分自身のキャラクターを少し出したいなと思って、このイラストをロゴに入れました。
着物カジュアルを始めたきっかけ
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——— 着物や帯を使い始めたきっかけは何かありましたか?
彩子:もともと、インテリアや建築の仕事を長くやってまして、その時に内装や室内装飾をかなりやっていました。仕事をしている中で、帯を使うテーブルコーディネートみたいなの面白いなと思い、帯を購入してみました。
実際見てみると、帯がすごく美しかったので、クラッチバッグなどにすると良さそうだなと思いました。
そこから、もともと私の母親が60年ほど洋裁をずっとやっていて、ミシンが家にあったこともあり、自分で鞄をつくったりするようになり、より一層着物や帯を買うようになりました。
——— そこから今の“SAICO”を始めることとなった経緯を教えてください。
彩子:着物は大半が絹やシルクなどの高級材料でかつ丁寧に作られているのですが、こうして着物や帯を探すようになったときに、着物や帯がすごい勢いで海外に流出したり、捨てられてしまっているということを知りました。
それを1着でも1枚でも多く、残したいという想いから今の“SAICO”を始めました。
“SAICO”に見せるこだわり
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——— “SAICO”として活動していく中での、田中さん自身のこだわりはありますか?
彩子:コロナ禍で、お金もないし、生活も大変という状態で0からこの“SAICO”をスタートしたので、絶対これだけは誰にも負けたくないという気持ちでやっています。
あとは、“SAICO”を始めたのが40代後半とかなり遅いスタートだったので、遅くたって大丈夫。始めたいと思った時が絶対その時だ、というのを証明したいという気持ちも強くあります。
もちろん、若い人に対しても同じで、1回は就職してみなきゃ、とかこれはやりたいけど…ではなく、やりたいときにやればいいと思っています。
多分色々やってみたいけど自信がないとか、そういう人たちがたくさんいると思うので、絶対に始めたほうがいいということを見せたいです。
SAICOを通じて実現したいこと
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——— “SAICO”を通じて実現したいこと、与えたい影響などはありますか?
彩子:賃金が安く、若い人たち含め多くの人がやりたがらないことによって、日本の伝統文化がどんどんなくなったり、消滅したりしています。
やはり、こうした事態を少しでも食い止めるためには、工芸師への工賃や弟子入りの制度を見直すべきであり、それ一本で生活が成り立つような仕組みを作っていかないといけないと思います。
そして、着物を着物っていう形で着なくてもいい。着物という美しい織物を少し形が変わっても、どんどん次の世代に繋げていくことが必要かなと思っていて、それが1番自分の中の“SAICO”としてやりたいことですね。
それともう1つは、世界に“SAICO”を知らしめてやるぞというのにはすごく強い信念を持っています。
日本の伝統文化をやはり、もう少し海外の方やまだ知らない国内の方々に認知してもらいたいです。
今後の“SAICO”としての目標
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——— 今後“SAICO”として予定していることや目標などはありますか?
彩子:もう少し値段を下げるとより多くの方が着物とかを手にしてくれるかなと思うので、“SAICO_三一五”の方で量産品をできるだけ早めに展開するというのが1番近くにある目標です。
ただ、母親がつくる1点物の“SAICO”の作品をもっとたくさんの方に見てもらいたいというのが1番なので、もう少し人の手を借りたりして、最終的には世界に“SAICO”を持っていきたいです。
今のところ10年計画で考えていて、10年後には“SAICO”がヨーロッパにある予定です。
——— 量産品の展開というのはいつ頃から始められる予定ですか?
彩子:もともとの予定から少し押してしまっているのですが、2023年7月に横浜の高島屋さんに出店するので、そこで販売を開始する予定です。
まとめ
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今回は“SAICO”を運営する田中彩子さんに活動していくうえでのこだわりや着物カジュアルを始めたきっかけ、今後の目標などをお話いただきました。
今後、新作アイテムの情報が更新されることはもちろん、百貨店での出店情報なども随時アップされるので、気になる方はぜひSAICOのInstagramをチェックしてみてください。
また、ほかにはないアイテムが多数展開されているので、ショップもチェックしてみてください。
彩子さん、今回はインタビューをお受けいただきありがとうございました。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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